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副住職日記

2016/09/29

「もうひとつの時間」

今年の8月で没後20年を迎えた写真家「星野道夫」さん。
 
アラスカの野生動物や自然、そこで生活する人々を撮り、作品を「週刊朝日」、「アニマ」、「マザー・ネイチャーズ」、「家庭画報」などに発表。
「National Geographic」など海外の雑誌でも活躍した彼は、43歳でお亡くなりになってからも、未だに多くのファンを魅了してやまない魅力的な方です。
 
動物写真というとライオンの捕食シーンやクジラのブリーチングといった決定的瞬間を収めたものを想像しますが、星野さんの写真はアラスカの大地に溶け込んだ者だけが撮れる、動物達の日常やリアルな生きる姿が魅力です。
引用:http://www.cinra.net/news/20160717-hoshinomichio
また、彼は文筆家としても活躍していました。
その文章は素晴らしく、雄大なアラスカの静けさと広さ、原野や氷河の凛と張り詰めた冷気を感じさせる空気感。
その文章からは「すべての存在への敬意」を感じさせます。
 
長年、大自然の中に身を置き「生きる」という事を肌で感じていたからこそ、あらゆる存在に敬意を払い、謙虚になれるのだと思います。
 
かくいう私も数年前から星野道夫さんの文章の大ファンです。
秋の夜長に代表作「旅をする木」を読んでいると、何か自分も謙虚な気持ちになれるのです。
その「旅をする木」の一節に、彼と友人との会話でこのような文章がありました。
 
「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」
「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いて見せるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」
「その人はこう言ったんだ。自分が変わってゆくことだって・・・その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思うって」
 
アラスカの大地を目の前にしなくても、私たちは日常のなかで感動したり、大切な人と共有したい経験をします。
 
美味しいものを食べたり、綺麗な景色を見たりと。
その感動をどのように伝えますか?
すぐに写真に収め、SNSに投稿しますか?
 
それも楽しいですが、自分の体験や感動した事を素早く共有する前に、深く味わう時間も大切な意味があるなと感じます。
深く味わい、自分の心の中に起こる変化を大切にする。
その感動が熟成し、自分が変わってゆくという伝え方もあるのだろうな、と。
そんな事を考えながら、行った事のないアラスカの大地に思いを馳せています。
日々忙しい皆さんです。
そんなスローな感動の伝え方もたまにはいかがでしょうか。

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