『昔話の深層』
河合隼雄
妙福寺トップページ > 妙福寺PRESS > 住職日記 > アンディ・ウォーホルの名言に、仏教の知恵を重ねてみる。
2025/06/15
米国の芸術家アンディ・ウォーホルの言葉に「Think Rich, Look Poor(豊かに考え、貧しく見せよ)」というものがあります。
見た目や物質的な豊かさよりも、内面的な思考や価値観を重視する姿勢を示唆しています。
この言葉は、仏教の大切な価値観、特に「足るを知る(知足)」という教えと深く響き合います。
仏教では、やみくもに欲望に振り回されるのではなく、自分の価値観に合うモノゴトで満足し、心の平安を得ることが重要とされます。表面的な贅沢を求めることは、逆に心の不安や執着を生む原因になります。ウォーホルの言葉は、まさにその逆説を突いているのです。外見で富を誇示するのではなく、内面での豊かさを育むことに集中する。これは現代社会、特に成功や見栄が強調されがちなビジネスの世界において、忘れられがちな視点かもしれません。
「Think Rich」とは、思考を豊かに保ち、創造性や自由な発想、学びに価値を置くこと。「Look Poor」とは、無理に消費せず、シンプルに暮らし、外見に囚われない自由を得ることです。
日々、仕事や生活の中で多くの責任やタスクを抱えながら過ごす中で、どこかで一度立ち止まり、「自分にとっての豊かさとは何か」を問い直す。
それが、余計なノイズに流されず、自分の軸を保って生きるための手がかりになるのかもしれません。
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