『昔話の深層』
河合隼雄
妙福寺トップページ > 仏教のススメ > 6時限目「お釈迦様の智慧を暮らしに役立てよう!」
仏教は人生をイキイキ生き抜く教えだと最初にお話しました。
そしてイキイキと生きるためには執着をコントロールすることが大事であり、そのための実践方法も説明いたしました。
仏を目指すと言うと、なにか雲の上の存在になるように感じるかもしれませんが、実はそうではありません。
仏教とは“人が人となる道”であり、人が真の人となることは、とりもなおさず仏となる事です。
仏は世界が無常であると知っているから、一期一会の出会いを大切にし、自分をめぐる仕事や人間関係の一つ一つのことも丁寧に謙虚に愛情を込めて行います。すべてが縁起によって成り立つものだと知っているから、自分以外の者へ慈悲の心をもって接し、一瞬一瞬を尊く生きます。
つまり私たちが真の人へ成ろうとすることが、仏へ成る一番の近道であり、それを毎日疎かにせず丁寧に生き、自分本位でなく周りへの思いやりを持つことが執着をコントロールすることになります。そして、結果的にさまざまな縛りから開放され他律的な生活から、自由な自立的な生活へと変化する。それがイキイキと生きるお釈迦様の智慧なのです。
忙しい毎日からちょっとだけ振り返り、仏教的視点で自分を点検する。そんな時間を皆さまにも作っていただきたいと願います。